2023年8月7日月曜日

8月6日の読書会

第一週の日曜午前、伝助くんの計らいで、前例のない候補日での全員参加の読書会となりました。伝助、グッジョブ!

さらにバイクのリーからは、夢のような朗報。なんと、強力な助っ人“老師X”の登場です。知る人ぞ知る“老師X”は、読書会への直接のご参加は難しいようですが、今後、この読書会での疑問解決にお力添えいただけるとのこと。いまから期待が膨らみます。疑問持ち越しが少しでも解消されれば、参加者各自が抱えるもやもやの霧が晴れて、視界もすっきり、ひいては家庭の平和、日本の平和、いや世界の平和に繋がるやもしれません。期待が膨らみきって、この段階ですでにはちきれてしまいました。バイクのリー、大殊勲、大絶賛!


そのようなわけで、今回の疑問もひかえめに記録しておこうかと……。

【疑問1】「用布,压了一道红色的绦子,锁住了四边。」(p.418)。ここの「压了一道红色的绦子」とは、どんな状態なんでしょう。「绦子」を「压」して、ぐるりと周りを「锁」するわけですよね? ここでの「绦子」とは、赤い布で作った(バイアステープ状の?)平紐なのか、もっと手の込んだ飾り紐っぽいものを赤い布を(「压」して)こしらえたものなのか……? あるいは、「压」して「锁」するとは、たんに「おさえて、かがる」という意味で理解していいのか……。

【疑問2】7月の回で「“结着丁香般愁怨”的女孩儿」(p.411)という表現が出てきました。読書会のあとも気になって、しつこく調べていくうちに、戴望舒(1904―1950)というインテリ詩人の《雨巷》という詩に行き当たりました。ここに「一个丁香一样地 结着愁怨的姑娘」という表現が出てきます。作品中では「“结着丁香般愁怨”」と引用符でわざわざくくっているのですから、出典元があり、それがこの詩なんじゃないかと思うに至りましたが、どうでしょう? 詩そのものは、雨のなか、姑娘が傘さして憂鬱そうに歩いてる、そんな内容でした(←身も蓋もない)。つまり、詩の世界を借りて、姑娘を見つめる作者の視点と、「一个孤独失意的艺术家」(p.411)である周香涛の視点を重ね合わせているのではないかと……。


追い詰められた人というのは、何をしでかすかわからない。呉錦梅により、とうとう秘密が発覚してしまいました(勘のいいヤツめ……)。最適解はほかになかったのか、裏切りの代償について考え込んでしまいました。美しく冷静でかしこい呉錦梅なのに。彼女と周香涛は、その後どういう終わり方をしたんでしょうね。

それにしても、まったく日の射さない狭い穴倉で8年間、秘密を抱えて8年間……、想像するだけで、叫びだしたくなります。彼らがどうやって過ごしてきたのかが、次回から語られます。

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あと2回くらいで、〈朗霞的西街〉読み終える見込みです。これからちょっと、严歌苓《第九个寡妇》を読んでみます。〈朗霞的西街〉同様、「地窖モノ」(←勝手に命名)らしいです。ドラマにもなっているみたいです。

《2022中国年度中篇小说》上・下、乱雑に読み散らかしております。

〈暗疾〉薛舒(36ページ)……前回も書いとおり、倦怠期を迎えた夫婦の話。作品の最初と最後のほうに《你好,之华》という映画のタイトルが出てきます。この映画は、岩井俊二監督の『ラストレター』の中国版なんだそう。《你好,之华》の主人公 袁之华演じる周迅の声は深みがあって魅力的でした。之华の片思いの相手 尹川演じる秦昊は、なんとなく豊川悦司っぽい雰囲気を醸していて、いかにも“スランプの作家”という感じがよく出てました。之南(之华のお姉さん)のクズ夫 张超を演じたのは、なんとなんと胡歌で、最初、彼だとはまったく気づきませんでした。『ラストレター』のほうではこのクズ夫をトヨエツが演じているようです。チャンスがあれば、こちらも見てみます。

映画《你好,之华》が示唆しているのは、〈暗疾〉の主人公 許亦菲のよろめく心でしょうか。映画はとても味わいのある作品でした。なのに、この〈暗疾〉の主人公は、眠気と戦っていてちゃんと見てないんですよ。

〈五湖四海〉王安忆(35ページ)……改革開放、時代の波に乗ってのし上がっていく男の話です。長江デルタ地域の水上民「猫子」の生活が生き生きと描かれていると思います。期待して読み進んだのですが、どうにもよくわからないモヤモヤ感が残りました。終わりかたも中途半端というか……。どうやらこの作品、掲載にあたって続きをカットしたようなのです。だから、大事なエッセンスがすっぽり抜けている。それって、掲載しても意味ないような……、ちゃんと読めてないのを棚に上げて、そんな感想を抱きました。削られた部分こそ読みたいです。成功を手にした男のお決まりのルート、その着地点を王安忆がどう料理したのか……とても気になっています。

〈白釉黑花罐与碑桥〉迟子建(49ページ)……北宋の第8代皇帝 徽宗皇帝が関係する2つの文物 白釉黑花罐と碑桥を巡る不思議話で、時空を超えるファンタジー要素の強い作品です。黒竜江省の佳木斯市に近い依兰という土地が舞台です。出だしはちょっと退屈でしたが、骨董コレクターである主人公が、巴兰河で水の事故に遭うところから物語が大きく動きます。構成が凝っています。比喩・暗喩がたっぷりで、深読み・妄想しがいのある作品です。コロナ下の社会状況も描かれています。歴史や地名に疎いわたしには、調べもので難儀しそうです。じっくり時間をかけて読みたいとは思いつつ、いまのわたしには難しすぎて、王蒙〈女神〉のときみたいに、調べが追いつかず挫折してしまう予感もあります。

〈味甘微苦〉鲁敏(31ページ)……妻の浮気を疑う夫と、家族にいえない悩みを抱える妻、その間に立つ姨娘がいい味出してます。持ち逃げされた金の取り立てシーンがリアルさを感じさせました。読後感はほのぼのしてます。

次の作品、何に決まるのか、いまからもう楽しみです。

〈逃匿者〉も控えてますよ、よりどりみどりです。[祥]

1 件のコメント:

  1. バイクのリー2023年10月14日 22:24

    9月24日の読書会、426頁16行目「算来,她长了十一岁」について二つの解釈が出て、最後まで皆の見解が分かれたまま終わりました。私が過日皆様にお知らせした中国人のO先生はその時点ではあいにく連絡が取れませんでしたが、その後O先生の見解を聞くことが出来ましたのでお知らせします。
    読書会では、①引diが朗霞の家に通い始めてから11年経った②引diはその時点で11歳になった、この二つの解釈が出されました。
    以下、O先生の回答です。読書会解釈②が正解、ただし、②の解釈はこの小説の中だけに限って出来る解釈であり、一般的にはこのような言い方がされることはない。
    以上が回答でした。これでは納得できない方もいらっしゃるかと思いますし、また私自身も正しく回答を理解出来ている自信もありません。ただとりあえず皆様の少しでも参考にお役に立てばと思い、無責任を承知で投稿しました。

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