まだ梅雨明けしていないのにこの暑さ。コロナ前はこうして汗だくで公民館に通ったんだなぁと思いだしました。汗だくで辿り着くと、その子さんが塩分チャージタブレットくださいました。塩だー、心遣いが目に沁みます……汗でした。
【珊瑚がこわすぎる】
杯形珊瑚、柱状珊瑚、蔷薇珊瑚、多星孔珊瑚、石芝珊瑚、西沙珊瑚、澄黄滨珊瑚、扁脑珊瑚、鹿角珊瑚、石叶珊瑚、足柄珊瑚、厚丝珊瑚、顶枝珊瑚、刺孔珊瑚、罗素角蜂巢珊瑚……、珊瑚にもいろいろあるんですね。本文によると「每一种珊瑚都有自己的仪态、目光和举止」(p.330)なのだとか。“こんな固有名詞、HSKには絶対出てこないよなー”、と思いつつ、一応ひとつずつ画像検索かけてみました。見つかったものがあれば、見つけられなかったものもあります。とりわけ、罗素角蜂巢珊瑚がどんなものなのかわかりません。百度で罗氏角蜂巢珊瑚という名称を見つけたので、そこからしつこくしつこく画像を渡り歩いているうちに……だんだん気分が悪くなりました。最初は感心して見ていたのが、次第になんというかこう頭にぞわぞわくるような、はっきりいえば……嫌悪感に襲われたのでした。なんでだろうと思っていたら、横から家族が「それ、集合体恐怖ってやつ?」というワードを繰り出してきました。あー、あの蓮コラみたいな画像にぞわぞわするアレか。いわれてみれば確かに共通点。そう思い至ると、それまでロマンチックに感じていた舅舅の珊瑚の家が、溢れかえる有機物の怨念でできた不気味な建築物に思えてきました。この作品のもつ、静かで不穏な雰囲気が意図せず倍増です。で、結局この珊瑚の固有名詞部分は、そっくりそのまま日本語読みに置き換えて通過しちゃいました。おかげで「何一つ頭に入ってこない」といわれましたが、……ごもっとも! 何を隠そう、このわたしもです。
【わからないものは、わからない】
「只要有吊床出现的地方,时间的熵就会发生变化」(p.331)
この作品、とにかく読めない漢字が多くて、ピンイン調べにも手を焼いてます。「熵」shāngなる単語も、お初でした。 北辞郎先生によると、意味は「エントロピー」なんてあったりするもんですから、そこからまた、“えんとろぴー、ナニソレ?”となって、案の定「わかんないよスパイラル」に飲み込まれていきました。延々調べようと、そもそも「エントロピー」なるもの、わたしの頭で理解できるわけない。脳珊瑚よりもわたしの脳は溝が浅くつるつるだ、たぶん(想像したらまた頭がぞわぞわした)。ハンモックの描写に、エントロピーを持ち出すあたりがきっとブンガクなのだ、と自分に言い聞かせています。こんなありさまで、わたしは果たして作品の最後まで辿り着けるのか、はなはだ覚束ないです。たとえるなら、プールの授業で25メートル先を見るときの気持ち……、といったらいいでしょうか。わたしの不安を知ってか知らずか、その子さんはここを「時間の質」とさらりとやっつけてしまうのでした。スマートだなぁ、おとなだなぁ。そうか、それが大正解です。
【ええぇ~っ、男だったの?!】
「两条胛头(肩膀)抬一张嘴肯定是无得食喽,日后要讨娘的(娶老婆)」(p.327)
この作品、舞台が広東省湛江市の最南端、中国大陸の最南端の港町、ここで話されている言語が閩南語系統の雷州話というものらしいです。你を鲁といったり、自己を家己といったり、実際にどんな発音なのかはさっぱりわからないのですが、わからないなりに字面や独特な言い回しがまたいい雰囲気を醸し出しています。
ここの「两条胛头抬一张嘴」は、歇後語らしいとShenshenが教えてくれました。それで、チャッピー先生にあらためて質問してみると、地域方言の中で成立している歇後語をあげてくれました。
两条胛头抬一张嘴 2本の肩で1つの口を支える(=1人の人間がやっと食っていく)
——そのココロは、
食唔起 / 食唔饱 一人食わせるのもやっと(=生活が苦しい)」。そうか、「肯定是无得食喽」(それじゃ食っていけないに決まってる)の部分がオチになっていたのか。
ところで、それより大衝撃だったのはそのあとの「日后要讨娘的」の部分。なんと主人公の「我」は男性だったのです! いや衝撃を受けたのはわたしだけで、ほかの仲間はみな、男性視点の語りだと認識していたそうです。ここまでの部分を読み返してみると、性別が分かるような箇所はありませんでした。なのになぜ、わたしだけ、“主人公は女性”と思っていたのか。予習の時点で、この「日后要讨娘的」の部分、確かに違和感を感じていたのですが、この違和感を、“雷州話は女も男扱いなのか”と、中央突破してました。ほら、わたしのばぁちゃんが自分のことを「おれ」といったりするような感覚で(知らんがな)。いま思えば強引にもほどがありますが、そこまで強く思い込んでいました、主人公の「我」は女性だと。思い込みっておそろしいです、反省。とにかく、「我」が男性だったので、ここまでのイメージが土台から崩れちゃいました。次回の読書会で登場する幼馴染の阿梁とのシーンも、セリフから情景からイメージが何もかも変わりました。……それはそれで新鮮でおもしろいので、まぁいっかぁ。
【それでも泊まってみたい珊瑚民宿】
「船泊在海面上的时候,是这世上最宁静的一种生灵,那种宁静有一种强大的魔力,可以轻易传染给别的事与物,使一切都跟随着她,堕进一种坚固的宁静里」(p.333)
珊瑚民宿の庭には、先ほどのハンモックのほかに主人公の「我」が海辺から引きずって持ち帰った壊れた木の船が、池のほとりに置かれています。さて、ここでもまた「船」の擬人化です。ハンモックがエントロピーなら(←よくわかってない)、船は静けさという強い魔力をもった女性だといってます(←よくわかってない)。珊瑚が有機的すぎてこわいと書いたばかりなのに、こういうブンガクっぽい表現を目にすると、やっぱり珊瑚民宿に泊まってみたいなぁと思います。小红书で探してみたら、実際に湛江市には「珊瑚民宿」と呼ばれる施設が複数あるらしく、女子好みのおしゃれなたたずまいです。ここに酔っぱらったネコとおばあちゃんが昼寝してたら、そりゃ最高ですね。
すでにもうこんなに暑いというのに、これから一年でもっとも暑い時期、「三伏」に突入です。夏至以降から立秋のあたりまでの、約30〜40日間のことだそうです。毎年、三伏の開始日・日数は変動します。ちなみに2025年は、初伏:7/20〜7/29、中伏:7/30〜8/8、末伏:8/9〜8/18ですって。
8月の読書会、全員元気で会えますように! [祥]