更新の間が空いてしまいましたが、3月の読書会は久しぶりに2回(3/10と3/31)開催しました。着々と読み進んでおります。しかも、前回から新しい仲間も加わって、より賑やかにより厚みのある読書会へと進化しました。
今回は話がぐんと進んで、龐雨生が“あの衝撃的な現場”を目撃して、そこから逃げだすところから。
【「小区大门」って、どこの門?】
「他从包里取出墨镜戴上,然后锁上门,疾步走出小区大门」(p.59)
のっけから「小区大门の小区ってドコ?」と素朴な疑問。みみっちい住宅環境しか念頭になかったわたしは、たんにマンションのエントランスにある自動ドアくらいのイメージかなと思ったのですが、どうもそうじゃないらしい。百度先生の画像検索で調べてみたら、それこそ大学の正門のような、守衛さんだっていそうな「小区大门」もあるのだと知りました。
【刑事ドラマで自白を強要するときの「吐」は何声?】
「他就吐出三个冰凉的字:“出事了。”」(p.59)
いまいましいことに、「吐」には、tǔとtùがあって、こいつに出くわすたび、“どっちだっけ”と電子辞書の世話になります。ここはtǔのほうですね。何かいい覚え方はないものでしょうか……。講談社『中日辞典』の例文に「逼使对方吐出真情」 Bī shǐ duìfāng tǔchu zhēnqíngとありました。「相手に本心を吐露させる」ときはtǔ、だから刑事ドラマで「正直に吐いちまえ!」と犯人を追い詰めるときも、tǔでいいのかな、多分。
【なんの数え歌?「一不过二,二不过三」】
「他想自己大概撞上了背时运,一不过二,二不过三,祸端肯定会找上门来,自己一定得做好最坏的打算。」(p.60)
「一不过二,二不过三」を、“一難去ってまた一難、二度あることは三度ある”などと意訳してしまいましたが、なんか違うような気もします。いまとなっては、なんでこんな日本語になったのか、どう調べたのかも思い出せない。雰囲気に任せて訳しちゃったのか。いつか解決してくれる人があらわれるかもしれない、ここに記録しておこう。
ちなみに「一不离二,二不离三」という表現もあるようです。こういう「一~,二~」系の数え歌っぽい言い回しって、けっこう見かけるような気がします。
【誰の「良心」?】
「祁老师教了我这么多年书,良心教会我,今天应该帮她一把」(p.61)
この「良心」が、祁先生の「良心」なのか、盛光輝の「良心」なのかで悩みました。いま振り返ってみるに、なんでそんなこと悩んだのかわからなくなってしまいました。「良心」が「教会」の前にあるのが混乱の元だったのかな。考えるうちに、そもそも、どちらのものという問題でもなく、良心は良心じゃん、と思えてきました(←いまココ)。
【こんな「学」の使い方】
「他把盛光辉白天以大哥名义到他办公室来光火的事,跟舒秋燕学了一遍」(p.62)
「学」に「まねをする・模倣する・見習う」という意味があるのは知っていたつもりでしたが、こういう文脈でお目にかかるとは。龐雨生は、盛光輝がかっと腹を立てるようすも舒秋燕に再現してみせたんでしょうか、想像するとわりと滑稽な感じがします。
仲間のその子さん情報によると≪中国年度中篇小说≫の2023年度版が出ているそうです。新しい本を手にしたその子さんの嬉しそうな顔といったら……。
読書会で取り上げる作品「その子セレクション」はハズレなしです。どれも心に残る作品ばかりです。恐るべき発掘力! 次回作、迟子建《白釉黑花罐与碑桥》も読みごたえがあります。その子さん、たとえ読書会で読めなくても、おもしろい作品を見つけたら、ばんばん紹介してくださいね。[祥]